★NHK「紅白」の真裏に、TBSが”紅白そっくり歌番組”をぶつけたことがある

合田道人著「怪物番組 紅白歌合戦の真実」(幻冬舎ISBN:4344007026
1955年(昭和30年)12月31日。恒例になった「第5回NHK紅白歌合戦」の真裏に、民放のラジオ東京(現・TBS)が、紅白そっくりの歌番組「1955年オールスター歌合戦」をぶつけてきた。NHKと同じ、テレビ・ラジオ同時放送。しかもラジオ東京は、破格の出演料で出場歌手と”独占契約”を結び、紅白との掛け持ちを許さなかった。
もともとラジオ東京専属の越路吹雪をはじめ、昨年紅白に出場した美空ひばり淡谷のり子、春日八郎など人気歌手がラジオ東京に出演。困ったNHKは、オペラや民謡、外国人歌手の出場、「応援団」として人気タレントのトニー谷を起用するなど危機を乗り切る。
翌年もラジオ東京は「オールスター歌合戦」を開催するが、NHKも紅白の時間延長、出演者増で対応。1957年(昭和32年)からラジオ東京は「オールスター歌合戦」を「オールスター大行進」に名称を変え、歌番組は紅白と被らない7時から9時に変更、9時からはバラエティに。
1989年(平成元年)に、紅白が7時20分開始に変更されるまで、NHKとTBSの”棲み分け”状態が続いた。
同著では、過去に出版された「紅白」関連本の誤りも指摘。1954年(昭和29年)の紅白で江利チエミ美空ひばり雪村いづみの「三人娘」が顔を揃えたが、これを「国民が待ちに待った三人娘の顔揃えが実現した年」と記述する本に対して「三人娘が組まれ、映画で登場するのは翌年のこと」と指摘する。NHKステラの増刊「紅白50回」(1999年刊)にも「三人娘」の映画ポスター写真が使われていた。他にも類似本には載っていないエピソード満載です。

©★てれびまにあ。2003-2013