★連載「テレビ情報誌は生き残れるか?」(4)テレビの国の国民誌「ザテレビジョン」

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1982年9月。
角川映画」が当たり、書籍と映画のメディアミックス路線を拡大していた角川書店。角川映画をフィーチャーした月刊誌「バラエティ」が当たり、映画の次はテレビ、ということで「週刊カドカワ ザテレビジョン」を創刊した。関東版、関西版、全国版の3版体制。

角川は、「ザテレビジョン」創刊にあたって「週刊TVガイド」を発行する東京ニュース通信社から、編集者や事務員など20数名引き抜き「株式会社ザテレビジョン」を設立。9月22日に発売された創刊号の表紙は、篠山紀信撮影の薬師丸ひろ子。レモンをかじる顔が印象的。

「ザテレビジョン」の表紙と言えばレモン、が定着しているが、創刊号の薬師丸ひろ子からあとはしばらく登場せず、レモン登場が恒常化したのは、1986年3月14日号の荻野目洋子からである。

創刊号の宣伝には、伊武雅刀を起用。国鉄(現・JR)や私鉄の駅には、かなり目立つ銀色の創刊告知ポスターが貼られ、書店では、創刊号購入者に、銀縁の変身メガネをプレゼント。テレビCMは、現在も使用されているキャッチ「♪ザッテレビジョーン、ジャジャジャジャン」。

「うれしはずかし創刊号」と表紙に書かれた創刊号。巻頭のカラーグラビアは「10月新番組特集第1弾」。テニスに興じる薬師丸ひろ子の特写も。

モノクログラビアは「ビートルズ結成20年」。社会、政治、経済、芸能のニュースダイジェスト。芸能は「三船敏郎が62歳のパパに・三船の愛人、女優・喜多川美佳<本名=大野照代 33>が女児(名前は「美佳」と命名)を無事出産。三船は現在、幸子夫人との間で離婚問題係争中」という記事も。

テレビ番組表は2色ページ。9月25日(土曜日)の番組表横には「ザテレビジョン丸の船出」と題し、手塚治虫によるイラストも。手塚はその後、連載ページも持った。ジャンル別番組解説、創刊記念インタビューや筑紫哲也の特別寄稿など。「地方新聞スクランブル」というページでは、当時まだ無名だったみうらじゅんが、イラストを描いていた。

後半は、創刊号から1985年7月26日号まで続いた「FM番組表」(関東、関西版のみ)。FM番組の「エアチェック」がリスナーにおこなわれていた頃。翌年創刊された「週刊テレビライフ」(現「テレビライフ」。学研)も、当初は「TV&FM番組表」が売りだった。

当初は苦戦した「ザテレビジョン」だが、バブル期以降は部数も急上昇。90年代初頭には、通常号で100万部、年末年始号は400万部を記録したことも。「テレビの国の“国民誌”」というキャッチフレーズも付けていた。1998年、インターネットが普及するようになってからは、部数低下が止まらず。現在は50万部程度。情報誌冬の時代に、ネットとどう棲み分けるかが課題である。

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