★「ラブカツやらせ問題」も含めマスコミの“やらせ”について考える

「きっこ」が暴いた?日テレ「恋愛部活(ラブカツ)」の“やらせ問題”について。
「ラブカツ」が批判されている理由は「純情な地方の高校生を結果的にダマしたから」だそうだが、実際“ダマされた”男子はどう思っているのか。ふだんの生活では出会えない、かわいい女の子と一緒にいられたんだからよかったじゃない、なんて言うと反発買うか。
恋愛なんて、しょせん男と女のダマしあい…と言ったら元も子もないが。「ラブカツ」の肩を持つ気はサラサラないが、たかが低俗バラエティ番組である。「やらせは許せない!」なんて、テレビを信じ過ぎてどうする。まず疑う、のが常識では。
電波少年」(日テレ)や「あいのり」(フジ)などのやらせがこんなに話題になっているのに、疑わない方が不思議。また、今の時代「テレビに出る」=「ネットで叩かれる」わけだから、安易にテレビ出演をOKした学校側に責任はないのか。こんな番組に出ても、学校の宣伝にはならない。


日テレバラエティの“やらせ”で思い出した。
70、80年代の名物番組「元祖!どっきりカメラ」では、仕込みではない本物の素人を驚かせたりしていたが、素人からクレームが来たりするようになったので、「どっきり」の後継番組「タモリのいたずら大全集」(90年ごろ)では、あらかじめ仕込みのエキストラを配置。何度か収録に参加しているエキストラタレントの話では、「いたずら大全集」の収録であることは知っているが、どういう“ドッキリ”があるのかは聞かされず参加。ハプニングに遭遇したらリアクションを大げさにして、という指示が事前にあるぐらい。この程度なら、まだ許される範囲か。ユニークな“素人”が多数出演する「さんまのスーパーからくりTV」のような、台本ガチガチの番組は、“演出”の域を超えている。


毎回、風変わりな素人が、芸能人の説教を受ける「怒りオヤジ」(テレビ東京)。先日放送された「熱海編」では、熱海の街で番組に出てくれる人を探すが、念のために“仕込み”も用意しました、とMCカンニング竹山。“素人”は“仕込み”ですよ、と宣言していて潔い。余談だが、同番組は現在「視聴率強化月間中」で、通常より濃い内容。現役ピンクコンパニオンによる、○○○○を使った芸など、テレビではなかなか見られない内容で興味深い。


雑誌も「テレビのやらせ発覚!」となると鬼の首を取ったように騒ぎ立てるが、雑誌こそやらせの温床であることは誰でも知っている。
なぜテレビは叩かれ、雑誌は叩かれないのか。国民の財産である「公共の電波」(今や死語。電波は放送局のモノになってしまった)を扱うテレビ局と違い、雑誌は出版社が勝手に出しているものだからかまわない、というわけか。再販制度で保護されている出版社も、公共性を求められるのは当然なのだが。
テレビのやらせを批判する雑誌に、やらせや捏造は一切ない、とは言い切れないはずである。「ラブカツやらせ」を取り上げた週刊文春も、ウソ記事満載である。


「雑誌のやらせ」の具体例。
もう10年ぐらい前の話だが、「週刊アサヒ芸能」(徳間書店)では、誌面で「OL座談会」などをよく企画していた。
このような企画では、編集者が直接、協力してくれる素人を探してきたりはせず、専門のリサーチ会社に委託して協力者を集めてもらう。リサーチ会社は、エキストラ会社に人材を発注。ふだんOLではないエキストラ女性が、OLの演技をすることを前提に座談会に参加。ありもしないことをテキトーにしゃべり、ギャラをもらう。テレビと違って拘束時間が短いので、おいしい仕事。座談会はライターが上手にまとめ、編集者に納品。
「丸の内現役OLが大胆告白!」なんて記事も、実態はこんなものである。まぁ発言内容を100%信じる読者もいないだろうが。


でもアサ芸は、実際に座談会を開催している分、良心的?である。外部に頼むとカネがかかるので、社内の女性を集めて「各社OL座談会」をおこなうケースもよくある。女性の匿名座談会やインタビューなんかは、ライターが妄想で書き、テキトーな写真を貼り付けただけの記事もある。
もっともエロ本も含め性を扱った記事が、やらせだらけなのは周知の事実。「くだらねぇ〜」と読み捨てるのが正しい読み方。雑誌もテレビと同様、まず疑う、のが常識。


テレビ局も、やらせが避けられない「素人参加番組」を作るのはやめたほうがいいのでは。ワケの分からない“素人ふうタレント”はもういらない。

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